自動車買取相場

90年代中盤、ポルシェが経営不振に喘ぐ中で世に 出され、爆発的なヒットによりその救世主となった ミッドシップーオープンスポーツのボクスターが3 代目へと生まれ変わった。リアエンジンの911と ボディの前半部分はじめ多くのパーツを共有するの はこれまで通り。つまり先に登場した新型911と 同様に、今回その中身はゼロから刷新されている。  一番の変化は、ボディ素材がアルミとスチールの 組み合わせとなったことだ。これは軽量化のためで、 車向重量は25キロ程度軽くなっている。  ボディはほんのわずかに大型化。全長が30mmちょ っと伸びている。一方、ホイールベースは60mmの拡 大。前後のトレッドも拡かっている。見た目、ずい ぶん立派に感じるのは、911とは違った個性を強 く主張しはしめたデザインだけでなく、この体躯の おかげでもある。タイヤがボディの四隅に近いところに配されたことで、ガッチリ筋肉質になったかの ような逞しさがにじみ出ている。  正直、見た目はちょっと立派になり過ぎた感も無 くはないのだが、来ればそんな思いもどこかに吹き 飛んでしまう。何しろその走りと来たら、小躍りし たくなるぐらい軽快なのだ。  操舵に対するノーズの動きすら何やら軽やか。姿 勢を常にフラットに保つ乗り心地は新型911にも 一脈通じるところがあるのだが、車体の前後に重量 物の無いミッドシップのボクスターは、更に動きに 落ち着きを感じる。路面からの人力を、よく動くサ スペンションがスッといなしてくれることもあり、 真っ直ぐ走らせているだけでも、こんな気持ち良い クルマがあったのかと唸ってしまうほどである。  もちろん曲がるのは、ボクスターの最高の得意科 目だ。コーナーに入っていく際の前輪の踏ん張り感 が増していて、その後もまさに自分を中心にクルマ が旋回していくような至高のコーナリングを楽しめ る。ゆっくり走っても、飛ばしても気持ち良く、「ガソリンが無くなるまで走っていたい」なんて気 持ちを久々に甦らせてくれるのだ。  しかし実際にガソリンが無くなるまで走るのは大 変だろう。何しろ新型ボクスターは燃費も抜群に良 い。特に2・7リットル直噴エンジンを積む素のボクスタ ーなんて、高速道路での巡航中など燃費計に13〜14 キロなんて表示が出ているのもザラ。動力性能を 考えたら、驚異的と言ってもいいだろう。  もちろん、そこはポルシェ。だからってダイエッ トフードのような薄味なエンジンをつくるはずが無 い。この2・7リットルは下から上までスカーンと爽快に 回り切るのが魅力。パワーはそこそこだが、高回転 域に近づくにつれて盛り上がるサウンド、そして切 れ味鋭いレスポンスは文句無しの快感だ。ボクスタ ーSが積む3・4リットルは、当然もっとパワフルだが、 私としては2・7リットルモデルを6速マニュアルで乗り たい。これこそがボクスターの本当の姿だと思う。  軽さと見映えを重視して、ソフトトップを使い続 けるルーフは、開閉にたった9秒しか要さなくなった。ボディ形状やフロントウィンドウの角度が変わ ったせいか、室内への風の巻き込みは従来より若干 増えている感じだが、せっかく屋根を開けているん だから、それに文句を言うのはナシだろう。  911と多くを共有するという成り立ちは従来と 変わらないのに、ボクスターの方が何だか進化の幅 が大きく感じられるのは、このクラスはこのぐらい、 という頭の中にある常識をけるかに上回っているせ いだろうか。何しろ同じような価格帯を見渡せば、 ライバル達はどれも乗用車ペース。その中で唯一の ミッドシップのリアルスポーツカーなのだから、秀 でて見えるのも当然かもしれない。  価格は少し上がったが、まだ600万円以下に踏 み留まっている。これを安いと言うと反感を買うか もしれないが、内容からすれば間違いなく買い得だ。 こんな気持ち良く走れるクルマなんて、はるかに高 いものを含めて、世の中にそうは無いのだから。  走るのが好きだという大は、長く乗るつもりで思 い切ってもいい。絶対後悔しないはずと断言する。
 

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